2008年04月11日 23:36
「その売り場はやばいって、ビル内で働くショップスタッフの間では有名でした」
ファッションに興味のある人なら知らない人はいないというファッションビル。
桃内さんはそのビル内に入っているショップのひとつで店長をしていた。
閉店後、彼女は入荷した新商品と旬の過ぎた商品の入れ替え作業を、バイトの女性と二人で行っていた。
彼女は二階で、バイトの女性は一階で作業を行い、エレベーターで交互に荷物を往復させていた。
間もなく、エレベーターが二階に上がってきた。その中には段ボール箱が置かれている。
段ボールを回収しようと近づいた時、ボックス内の壁面にある、大きな鏡に目をとめた。
そこには、丁度正面に立つ彼女の全身が映り込んでいた。
その後ろに、もうひとつの人影が見えた。
派手なピンクのドレスのような服を着た、ボサボサのロングヘアーの女が俯いて立っている。
その頭が動いた。
ゆっくりと、その頭部をもたげはじめる。
彼女はフロア内の段ボールを押しのけ、非常階段へと走った。
後ろは振り返らなかった。
そして、どうにか一階まで辿り着いた。
汗と涙で化粧がどろどろになった彼女を見て、バイトの女性は呆然としていた。
それから間もなく、彼女はその店を退職した。
(超-1 2008/「退職理由」より)
ファッションに興味のある人なら知らない人はいないというファッションビル。
桃内さんはそのビル内に入っているショップのひとつで店長をしていた。
閉店後、彼女は入荷した新商品と旬の過ぎた商品の入れ替え作業を、バイトの女性と二人で行っていた。
彼女は二階で、バイトの女性は一階で作業を行い、エレベーターで交互に荷物を往復させていた。
間もなく、エレベーターが二階に上がってきた。その中には段ボール箱が置かれている。
段ボールを回収しようと近づいた時、ボックス内の壁面にある、大きな鏡に目をとめた。
そこには、丁度正面に立つ彼女の全身が映り込んでいた。
その後ろに、もうひとつの人影が見えた。
派手なピンクのドレスのような服を着た、ボサボサのロングヘアーの女が俯いて立っている。
その頭が動いた。
ゆっくりと、その頭部をもたげはじめる。
彼女はフロア内の段ボールを押しのけ、非常階段へと走った。
後ろは振り返らなかった。
そして、どうにか一階まで辿り着いた。
汗と涙で化粧がどろどろになった彼女を見て、バイトの女性は呆然としていた。
それから間もなく、彼女はその店を退職した。
(超-1 2008/「退職理由」より)






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