2008年04月13日 01:15
田舎の大学に通う田村と玉井の二人。
貧乏学生で下戸の二人がする夜遊び、それは肝試しだった。
夜九時を過ぎると寝静まってしまう繁華街を尻目に、二人はあちこちを回った。
墓地、公園、廃墟、橋、校舎、などなど。
一ヶ月もすると、噂になっている場所はあらかた周り尽くしてしまう。
しかし、彼らは同じ所をローテーションで回っては、その雰囲気を楽しんでいた。
その夜は、心霊スポットと噂されるマンションでの、何度目かの肝試し。
そのマンションの一階駐車場のコンクリート壁には、ひとつのシミが残されている。
十五年前、ある女子高生がいじめを苦に手首を切り、息絶えたという場所に残るシミ。
恨みを血潮に乗せて、壁に塗り込んで出来た、大きなシミ。
駐車場に車を止めると、彼らはそんな噂のあるシミのある壁を見た。
経った女性の姿のように見えるシミ。
そしてシミ。
「変じゃね?」
シミの隣に、全く同じ形のシミがある。
その隣にもシミ。
そしてシミ。
さらにシミ。
駐車場の全ての壁面を、無数のシミが取り囲んでいる。
二人は後ずさりした。
その背中に、何かが当たった。
振り返ると、コンクリートの支柱がある。
そこにも、シミが二人と半分。
我に返った玉井は、まだ正体をなくしている田村の手を引き、車へと放り込んだ。
エンジンのかかった車が周囲のシミに触れないように、何度も慎重に切り返す。
そしてようやく出口へ向かって走り出した時。
「あたしもつれ
抑揚のない、消え入りそうな女の声がした。
その声を振り切るかのように、車は駐車場の外へ吐き出された。
二人はその晩、田村の彼女がいる寮になだれ込み、眠れぬまま朝を迎えた。
その後、二人には何も起こってはいない。
(超-1 2008/「シミ (2)」より)
貧乏学生で下戸の二人がする夜遊び、それは肝試しだった。
夜九時を過ぎると寝静まってしまう繁華街を尻目に、二人はあちこちを回った。
墓地、公園、廃墟、橋、校舎、などなど。
一ヶ月もすると、噂になっている場所はあらかた周り尽くしてしまう。
しかし、彼らは同じ所をローテーションで回っては、その雰囲気を楽しんでいた。
その夜は、心霊スポットと噂されるマンションでの、何度目かの肝試し。
そのマンションの一階駐車場のコンクリート壁には、ひとつのシミが残されている。
十五年前、ある女子高生がいじめを苦に手首を切り、息絶えたという場所に残るシミ。
恨みを血潮に乗せて、壁に塗り込んで出来た、大きなシミ。
駐車場に車を止めると、彼らはそんな噂のあるシミのある壁を見た。
経った女性の姿のように見えるシミ。
そしてシミ。
「変じゃね?」
シミの隣に、全く同じ形のシミがある。
その隣にもシミ。
そしてシミ。
さらにシミ。
駐車場の全ての壁面を、無数のシミが取り囲んでいる。
二人は後ずさりした。
その背中に、何かが当たった。
振り返ると、コンクリートの支柱がある。
そこにも、シミが二人と半分。
我に返った玉井は、まだ正体をなくしている田村の手を引き、車へと放り込んだ。
エンジンのかかった車が周囲のシミに触れないように、何度も慎重に切り返す。
そしてようやく出口へ向かって走り出した時。
「あたしもつれ
抑揚のない、消え入りそうな女の声がした。
その声を振り切るかのように、車は駐車場の外へ吐き出された。
二人はその晩、田村の彼女がいる寮になだれ込み、眠れぬまま朝を迎えた。
その後、二人には何も起こってはいない。
(超-1 2008/「シミ (2)」より)




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