【リライト】記念写真

2008年04月14日 01:37

 ある時、早舩さんは交通事故で入院する事になった。
 幸い命に別状はなかったものの、首にコルセットを着けられ、全身は包帯でぐるぐる巻き。
 その自分の姿が面白く、これも何かの記念だと、見舞いに来た友人に使い捨てカメラを渡すと、写真を撮ってもらった。

 退院してからその使い捨てカメラを現像に出し、仕上がった写真を手に友人宅へ出掛けた。
 友人とともに写真を広げる。
 笑顔の彼や友達、巫山戯たポーズ、ユルユルの寝顔などの写真が続く。
 そして最後の一枚。
 そこには、ベッドから上半身を起こした早舩さんが、ピースサインで写っている。
 その彼の左肩あたり、やや後方に、首から下の男の姿が写っていた。
 少しよれた白いワイシャツ。
 紺色のスラックス。
 黒っぽい靴下。
 中肉中背のその体が、天井からぶら下がっているように見える。
 その姿は、鮮明に浮かび上がっていた。

 その写真とネガは、近所の神社に持って行き、処分してもらった。

 その後、早舩さんはある事を思い出した。
 入院中、あのベッドの上で上半身を起こし、壁に背を向けて雑誌を読んでいる時。

 ごつっ。

 何かが頭を叩いた。
 いや。
 何かが頭を、蹴った。
 足の感触が、蹴られた部分にはっきりと感じ取れた。

 振り返ると、ほんのわずかな隙間を残して、すぐ後ろは壁。
 そんな事がたびたびあったという。

 それはちょうど、あの男の姿が写ったあたりだったらしい。

(超-1 2008/「記念写真」より)


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