【リライト】配管の上を

2008年04月15日 00:29

 ある日、住本さんは頭上の音に視線をあげた。
 工事中のビル内の天井は、剥き出しの配管が何本も走っている。
 それらの配管の上に、一対の男の足首があるのが、視界の隅に映った。
 裸足のその足は、ぺたぺたと配管の上を歩いている。
 その姿を追いかけようと視線を動かすと、足は見えなくなった。

 それからもその足は、住本さんの視界の隅にちらちらと姿を現した。
 天井から配管までの隙間は五十センチ弱。
 その隙間を歩く足は、裸足のものだけではなく、時にはスニーカーだったり、サンダル履きだったりした。

 朝と昼の二度、作業員が集まってラジオ体操を行う。
 その音楽に合わせようとでもしているのだろうか、その足もぺたぺたと配管の上を動き回っていた。
 リズムに合っていないラジオ体操は、毎日続けられた。

 住本さんがその現場でのバイトを終える日の朝も、足はぺたぺたと動き回っていた。

(超-1 2008/「配管の上を」より)


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