【リライト】黒い座敷童子

2008年04月01日 22:56

 七歳の絵里ちゃんは、お風呂に入ろうと脱衣場に行った。
 そこで、変なものを見つけた。
 畳んでおいてある、洗い立てのタオルの上。
 そこに、真っ黒な小さい人が立っている。

 絵里ちゃんは叫びながら、居間にいる父の元へ走った。
「どうしたん?」
「座敷童子がおった」
「座敷童子?」
 父は首をかしげていた。
 戻りたくなかったが、父に連れられて脱衣所に様子を見に行った。
 タオルの上には、もう黒い小人の姿はなかった。
「ほら、何もおらんやん」
「さっきは座敷童子おったもん」
「どうしてそれが座敷童子やと思ったの?」
「座敷童子やもん」
 絵里ちゃんは頬をふくらませた。
 その時、父が何かに気づいた。
 タオルの一部が、じゃんけんのチョキの指先を押しつけたように窪んでいる。
 それは小さな足跡のように見えた。

 結局その夜、絵里ちゃんはお風呂に入らなかった。

(超-1 2008/「黒い座敷童子」より)


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