【リライト】水の上を

2008年04月18日 23:44

 満員電車に揺られながら、須藤さんは車窓の風景を見ていた。
 電車は鉄橋の上を通過しているところだった。
 その下には、大きな川の流れが見える。

 その川の真ん中に、人がいた。

 セミロングで白いキャミソールを着た女性が、背を向けて川面に立っている。
 その川の中程は人が立てない深さのはず。
 その上を、女性はふわふわと舞うように飛び跳ねながら歩いている。
 裸足の指先が水面に付くと、小さな波紋が広がる。

 電車が間もなく、川を渡りきろうとしていた。
 そして雑木林にさしかかり、須藤さんの視界から、波紋の軌跡を描きながら進む女性の姿がかき消された。

(超-1 2008/「水の上を」より)


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