【リライト】空気の塊

2008年04月21日 03:25

 長井さんは、小学一年生くらいまで、『空気の塊みたいなもの』が見えていたという。
 その形を聞いてみると、シャボン玉を平べったく押しつぶしたようなものだったという。
 それらは空中を漂い、行き交う人々と重なることもあったという。

 空気の塊と人が重なる時、それが割れたり逃げ出したりすると、その人は長くない。
 彼は断言した。

 長井さんが、入院している祖母のお見舞いに行った時、周囲にあった空気の塊が、祖母を避けるように動いていた。
 それから間もなく、祖母はなくなった。
 お見舞いの際に、同じように空気の塊に避けられている年寄りを何人か見かけたが、その人達もまた、病室から姿を消した。

 長井さんが二年生になった頃、徐々に空気の塊が見えなくなっていったという。

(超-1 2008/「空気の塊」より)


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