2008年04月21日 03:34
岡崎さんの兄が高校二年生の頃、奇妙な体験をした。
当時、彼は高校に通う為に、それまで暮らした離島の実家を離れ、本土に住む母方の祖父母の元に身を寄せていた。
その夜彼は、二階の自室で布団に横になり、うつらうつらしていた。
ふと、階段を上る足音に気付いた。
だが、その足音が妙に重い。
ガチャ、という、硬い物がぶつかり合うような足音。
祖父母のものではない。
彼は起きて身構えようとした。
が、体が動かない。
足音は階段を上りきり、彼の部屋の前までやってくる。
彼はどうにか、視線を入り口の扉に向けた。
扉を通り抜け、何者かが室内に入ってきた。
立派な造りの鎧甲に身を包んだ鎧武者が、彼に近づいてくる。
輪郭が陽炎のように揺らめく。
怯える彼を見据えながら、鎧武者はその足下に立った。
そしてその体が、彼の方に向かって傾いた。
押しつぶされるっ!
目を閉じて堪えたが、痛みはなかった。
しかし、奇妙な違和感が足下に走った。
思わず目を開けた。
その目の前に、鎧武者の姿があった。
彼と向かい合うように、その姿が彼にぶつかる一歩手前で制止している。
いや、徐々にその体は下半身から沈んでいた。
下半身に感じる違和感は、彼の体内に鎧武者が浸食している感触だった。
その感触は脛、膝、腿、腰、腹、胸と這い上がっていく。
そして彼の目の前で、武者の顔の下半分が、彼の顔にめり込んだ。
「うわ、うわ、うわっ!」
思わず声が出た。
その瞬間、体の自由が戻り、あの不快な感触が消えた。
すぐに彼は実家に電話し、父にその話をした。
彼の父は拝み屋のようなことを生業としている。
「あー、それ、お前の守護霊だから」
父はあっさりと言った。
(超-1 2008/「内にて備える」より改題)
※せんべい猫より
この話の原題は「内にて備える」という題名でしたが、この話の前に投稿された「敵味方関係」という話のサイドストーリー的な意味合いが強く、単独で成立させるには詰め込まれた内容が多すぎました。
また、「敵味方関係」はリライトNGということもあり、二つをひとつにまとめて書き直すと言うことも出来ません。
その為、「敵味方関係」と関連する記述を全て削除し、題名についても本編の怪異のみを強調した「内へ」と改めさせていただきました。
改題についてご理解いただければと思います。
当時、彼は高校に通う為に、それまで暮らした離島の実家を離れ、本土に住む母方の祖父母の元に身を寄せていた。
その夜彼は、二階の自室で布団に横になり、うつらうつらしていた。
ふと、階段を上る足音に気付いた。
だが、その足音が妙に重い。
ガチャ、という、硬い物がぶつかり合うような足音。
祖父母のものではない。
彼は起きて身構えようとした。
が、体が動かない。
足音は階段を上りきり、彼の部屋の前までやってくる。
彼はどうにか、視線を入り口の扉に向けた。
扉を通り抜け、何者かが室内に入ってきた。
立派な造りの鎧甲に身を包んだ鎧武者が、彼に近づいてくる。
輪郭が陽炎のように揺らめく。
怯える彼を見据えながら、鎧武者はその足下に立った。
そしてその体が、彼の方に向かって傾いた。
押しつぶされるっ!
目を閉じて堪えたが、痛みはなかった。
しかし、奇妙な違和感が足下に走った。
思わず目を開けた。
その目の前に、鎧武者の姿があった。
彼と向かい合うように、その姿が彼にぶつかる一歩手前で制止している。
いや、徐々にその体は下半身から沈んでいた。
下半身に感じる違和感は、彼の体内に鎧武者が浸食している感触だった。
その感触は脛、膝、腿、腰、腹、胸と這い上がっていく。
そして彼の目の前で、武者の顔の下半分が、彼の顔にめり込んだ。
「うわ、うわ、うわっ!」
思わず声が出た。
その瞬間、体の自由が戻り、あの不快な感触が消えた。
すぐに彼は実家に電話し、父にその話をした。
彼の父は拝み屋のようなことを生業としている。
「あー、それ、お前の守護霊だから」
父はあっさりと言った。
(超-1 2008/「内にて備える」より改題)
※せんべい猫より
この話の原題は「内にて備える」という題名でしたが、この話の前に投稿された「敵味方関係」という話のサイドストーリー的な意味合いが強く、単独で成立させるには詰め込まれた内容が多すぎました。
また、「敵味方関係」はリライトNGということもあり、二つをひとつにまとめて書き直すと言うことも出来ません。
その為、「敵味方関係」と関連する記述を全て削除し、題名についても本編の怪異のみを強調した「内へ」と改めさせていただきました。
改題についてご理解いただければと思います。






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