2008年04月21日 03:59
りんごが置いてある。
窓の向こう、道路向かいのビルの非常階段の上、三階から四階へ上がる地点に、小さな赤い、丸い物がある。
左近さんには、それがりんごに見えた。
りんごのようなものは、左近さんが見ている前で、ぽーん、ぽーん、と、跳ねながら階段を上りはじめた。
「なんだ、あれ……」
やがてそれは踊り場を曲がり、見えなくなった。
『キョウミガアル』
その時、左近さんの耳元で、女の声がした。
片言で、感情のこもっていない声だった。
室内を見渡すが、左近さんしかいない。
首をかしげつつ、再び窓の外を見た。
またあの場所に、小さな赤い、丸い物がある。
そして先程と同じように、跳ねながら階段を上りはじめた。
それが踊り場の向こうに姿を消したのを確認すると、左近さんはブラインドを下ろし、仕事に戻った。
(超-1 2008/「りんご」より)
窓の向こう、道路向かいのビルの非常階段の上、三階から四階へ上がる地点に、小さな赤い、丸い物がある。
左近さんには、それがりんごに見えた。
りんごのようなものは、左近さんが見ている前で、ぽーん、ぽーん、と、跳ねながら階段を上りはじめた。
「なんだ、あれ……」
やがてそれは踊り場を曲がり、見えなくなった。
『キョウミガアル』
その時、左近さんの耳元で、女の声がした。
片言で、感情のこもっていない声だった。
室内を見渡すが、左近さんしかいない。
首をかしげつつ、再び窓の外を見た。
またあの場所に、小さな赤い、丸い物がある。
そして先程と同じように、跳ねながら階段を上りはじめた。
それが踊り場の向こうに姿を消したのを確認すると、左近さんはブラインドを下ろし、仕事に戻った。
(超-1 2008/「りんご」より)






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