【リライト】バリア

2008年04月21日 04:01

 こつんこつん。

 昼下がりにうとうとしていた祥子さんは、奇妙な物音に目を覚ました。
 瞼を開けると、隣の部屋から黒い玉のような物が飛んできて、彼女のいる部屋の壁にこつこつ当たっている。
 隣の部屋に視線を動かすと、そこにある仏壇がぼんやりとした白い靄に包まれている。
 そしてその靄は、仏壇の傍らで眠っている息子さんに伸び、そして包み込んだ。
 寝ぼけていた祥子さんは、その様子をぼーっと見ていた。すると。

 どがっしゃああああああぁぁぁぁぁぁん。

 一瞬にして、隣の部屋が崩れた。
 居眠り運転のトラックが、そこに突っ込んできたのだ。
 祥子さんは飛び起きると、崩れ落ちた隣室に走り、瓦礫をかき分けた。
 そしてその下に、傷ひとつなく眠っている息子さんを見つけた。

「先祖が守ってくれたんだと思います。息子と自分の仏壇を」
 その祥子さんの言葉通り、仏壇にも傷ひとつなく、中に納められていた位牌やコップは微動だにしていなかった。

(超-1 2008/「バリア」より)


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