2008年04月21日 04:14
「絵里花、もう夕方だし、帰ろ」
凉香に促されて、絵里花は教室を出た。
夕焼けの朱い光に染まる廊下を、パタパタと上履きを鳴らしながら歩く。
廊下の端にあるスピーカーから、下校を促す校内放送が聞こえてくる。
「スズ、先に校門で待ってて。ちょっとトイレ行ってくる」
絵里花はそう言うと凉香にカバンを渡し、手前のトイレに入っていった。
鮮やかな夕焼けに染まる校庭を見ながら、凉香は絵里花が来るのを待っていた。
正面入り口を見ると、そこに見慣れた姿が現れた。
しかし、その手には見た事のないスポーツバッグを持っている。
凉香の元に駆け寄ってきた絵里花は、泣きそうな顔をしていた。
そして、あのスポーツバッグを凉香の前に差し出した。
「取れないよ……カバンが、取れないよ!」
パニックを起こしかけている彼女をなだめ、凉香はその手を取った。
絵里花の手は、固く握りしめられている。
指を一本一本、無理矢理に開かせ、ようやくスポーツバッグを取り上げた。
「いやだ……睨んでる……」
そう言う絵里花の目は、凉香が取り上げたスポーツバッグを見下ろしていた。
その言葉に寒気を憶えた凉香は、門柱にスポーツバッグを勢いよく投げつけ、絵里花の腕を取って逃げ出した。
学校から離れ、ようやく落ち着きを取り戻すと、絵里花は口を開いた。
彼女がトイレに入った時、洗面台のそばにあのスポーツバッグが落ちていた。
忘れ物だと思い、職員室に届けようとした。
が、持ち替えようとした時、その手が開かない事に気付いた。
パニックになった彼女は、凉香に助けを求めたのだという。
そして、凉香に取ってもらったスポーツバッグを見た時。
そのファスナーが僅かに開いていた。
そこに、彼女を睨む目玉がひとつ、あった。
翌日登校した時、あのスポーツバッグはどこにもなかった。
(超-1 2008/「カバン」より)
※せんべい猫より
登場人物の名前について、カタカナで同じ音で終わる名前は判別が付きづらく、また読者をしらけさせる可能性が高い為、漢字に置き換えさせていただきました。
(「女の子の秘密」の場合は判別に支障を来さない為、そのままとなっています)
凉香に促されて、絵里花は教室を出た。
夕焼けの朱い光に染まる廊下を、パタパタと上履きを鳴らしながら歩く。
廊下の端にあるスピーカーから、下校を促す校内放送が聞こえてくる。
「スズ、先に校門で待ってて。ちょっとトイレ行ってくる」
絵里花はそう言うと凉香にカバンを渡し、手前のトイレに入っていった。
鮮やかな夕焼けに染まる校庭を見ながら、凉香は絵里花が来るのを待っていた。
正面入り口を見ると、そこに見慣れた姿が現れた。
しかし、その手には見た事のないスポーツバッグを持っている。
凉香の元に駆け寄ってきた絵里花は、泣きそうな顔をしていた。
そして、あのスポーツバッグを凉香の前に差し出した。
「取れないよ……カバンが、取れないよ!」
パニックを起こしかけている彼女をなだめ、凉香はその手を取った。
絵里花の手は、固く握りしめられている。
指を一本一本、無理矢理に開かせ、ようやくスポーツバッグを取り上げた。
「いやだ……睨んでる……」
そう言う絵里花の目は、凉香が取り上げたスポーツバッグを見下ろしていた。
その言葉に寒気を憶えた凉香は、門柱にスポーツバッグを勢いよく投げつけ、絵里花の腕を取って逃げ出した。
学校から離れ、ようやく落ち着きを取り戻すと、絵里花は口を開いた。
彼女がトイレに入った時、洗面台のそばにあのスポーツバッグが落ちていた。
忘れ物だと思い、職員室に届けようとした。
が、持ち替えようとした時、その手が開かない事に気付いた。
パニックになった彼女は、凉香に助けを求めたのだという。
そして、凉香に取ってもらったスポーツバッグを見た時。
そのファスナーが僅かに開いていた。
そこに、彼女を睨む目玉がひとつ、あった。
翌日登校した時、あのスポーツバッグはどこにもなかった。
(超-1 2008/「カバン」より)
※せんべい猫より
登場人物の名前について、カタカナで同じ音で終わる名前は判別が付きづらく、また読者をしらけさせる可能性が高い為、漢字に置き換えさせていただきました。
(「女の子の秘密」の場合は判別に支障を来さない為、そのままとなっています)




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