2008年04月22日 23:25
ある日、井出さんの職場に園山さんという女性が配属になった。
昼休みに、皆でテーブルについて昼食を食べながら雑談をしていて、井出さんはあることに気付いた。
テーブルの上、園山さんの正面に。
にょっきりと茶色い尻尾が生えていた。
それは中型犬の尻尾と同じくらいの大きさで、ぴん、とテーブルの上に立っている。
井出さんは自分の目を疑った。
しかし、相変わらず茶色の尻尾は生えている。
彼が注目する中、尻尾はスイスイとテーブルの上を滑るように動き、彼のそばまでやって来た。
そしてすぐに向きを変え、園山さんの前に戻っていった。
それに気付いているのは彼だけだった。
「ね、ねえ、園山さんは何か動物を飼ってますか? 私は犬を飼ってるんですよ」
ふと思いつき、そう尋ねてみた。
「ええ、うちもちょっと前まで犬を飼ってたんですよ。うちの子達が拾ってきた雑種でしたけど。
でもこの間、老衰で死んじゃったんです。もう悲しくて。
ああ、写真持ってますよ。うちの子達と写ってるの」
そう言うと彼女はカバンから定期入れを取り出し、彼に見せた。
そこには、にこにこと笑うふたりの男の子と、茶色の雑種らしき中型犬が写っていた。
写真を見せる彼女のそばには、写真と同じ茶色の尻尾が嬉しそうに、ぴらぴらと左右に揺れていた。
(超-1 2008/「スイスイと」より)
昼休みに、皆でテーブルについて昼食を食べながら雑談をしていて、井出さんはあることに気付いた。
テーブルの上、園山さんの正面に。
にょっきりと茶色い尻尾が生えていた。
それは中型犬の尻尾と同じくらいの大きさで、ぴん、とテーブルの上に立っている。
井出さんは自分の目を疑った。
しかし、相変わらず茶色の尻尾は生えている。
彼が注目する中、尻尾はスイスイとテーブルの上を滑るように動き、彼のそばまでやって来た。
そしてすぐに向きを変え、園山さんの前に戻っていった。
それに気付いているのは彼だけだった。
「ね、ねえ、園山さんは何か動物を飼ってますか? 私は犬を飼ってるんですよ」
ふと思いつき、そう尋ねてみた。
「ええ、うちもちょっと前まで犬を飼ってたんですよ。うちの子達が拾ってきた雑種でしたけど。
でもこの間、老衰で死んじゃったんです。もう悲しくて。
ああ、写真持ってますよ。うちの子達と写ってるの」
そう言うと彼女はカバンから定期入れを取り出し、彼に見せた。
そこには、にこにこと笑うふたりの男の子と、茶色の雑種らしき中型犬が写っていた。
写真を見せる彼女のそばには、写真と同じ茶色の尻尾が嬉しそうに、ぴらぴらと左右に揺れていた。
(超-1 2008/「スイスイと」より)




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