【リライト】座敷童子

2008年04月22日 23:37

 恵子さんは結婚を機に、新居へ引っ越した。
 ある時、掃除機を掛けていると、背後に視線を感じる。
 彼女が振り返ると、そこには小さい子供がいた。
 七歳くらいの、古ぼけたちゃんちゃんこを着た、おかっぱ頭の女の子。
 その子は恵子さんと目が合うと、素早く逃げて物陰に隠れた。
 恵子さんは部屋中探したが、女の子の姿はどこにもなかった。

「そんな感じでたまに見ることがあるんだけど、他にもいろいろな事が起きるの」
 ある時、恵子さんはヤクルトを飲もうと取り出し、蓋を開けたのだが、急にトイレに行きたくなった。
 トイレから戻ると、テーブルの上に置いた容器の中は空っぽだった。

「私も漫画が好きなんだけど、その子も漫画が好きみたいで」
 時々、本棚の漫画の配置が換わっていることがある。
 綺麗に巻数通りに並んでいたはずが、順番がデタラメになっていたり。
 上下逆さまになっていたり。
 一冊だけ中途半端に飛び出していたり。
 恵子さんも旦那さんも、わりと几帳面なのでそういう状態にすることはまずない。
「今はドラゴンボールがお気に入りみたい」
 その近辺に異変が集中しているそうだ。

「座敷童子を見ると、良いことがあるって言うじゃない? でも、何もないのよねぇ」
 そう零す恵子さんだが、波乱とは縁のない普通の幸せな生活が、もう四年目に突入している。

(超-1 2008/「座敷童子」より)


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