【リライト】嘲笑

2008年04月22日 23:46

 その夜、広瀬君が自宅で彼女とくつろいでいると、急に気分が悪くなってきた。
 さらに頭痛が彼を襲い、どこからか嫌な気配を感じた。
 ふと窓の外を見ると、ベランダの向こうに男がいて、彼をじっと見ている。
 そこは五階。人が立てるはずもない。

「大丈夫? どうしたの?」
 ますます調子を崩す広瀬君を彼女が心配しているが、どうやら彼女には男の姿は見えていないらしい。

 肩まで掛かる長髪の男は、彼が苦しむ様を見て嘲笑っているかのようだ。
 どんよりと濁った目が、実験動物を見るように彼を見下ろしている。

 動けなくなった広瀬君は蹲り、ただひたすら苦痛に耐えるしかなかった。
 やがて満足したのか、男は姿を消した。
 その顔に嘲笑を浮かべたまま。

(超-1 2008/「理不尽な話」より改題)

※せんべい猫より
 この話の原題は「理不尽な話」という題でしたが、あまり本編と噛み合っておらず、「〜な話」「〜の話」というスタイルはどちらかというと怪談落語向けだと思いました。
 リライトにあたり、本編の怪異の薄気味悪さを強調する「嘲笑」と題を改めさせていただきました。
 改題についてご理解いただければと思います。


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