【リライト】カーブミラーに

2008年04月23日 23:11

 その日、東尾さんは数名のバイク仲間とともに、峠を攻めることにした。
 現地集合の為、待ち合わせ場所で仲間が揃うのを待つ。
 待ち合わせ場所は、峠道の手前にあるY字路。
 東尾さんは、その左手にある空き地に愛車を止め、仲間と雑談をしていた。

 分岐の部分には二枚のカーブミラーが備え付けてある。
 東尾さんは雑談の途中、ふとそのミラーを見た。
 ミラーに映り込む夜道の片隅に、人影が映っていた。
 白い割烹着に白い靴下、サンダルを突っかけ、手には買い物カゴを持っている。
 その下半身が街灯に照らされ、そこに映し出されている。

 今時珍しい、昭和のおばちゃんの買い物姿。
 ミラーには下半身しか入りきっていない。
 ふと興味がわき、おばちゃんの立っているあたりを見た。
 誰もいない。
 慌ててミラーを見る。
 いる。
 しかもさっきよりも近い。
 言いしれぬ薄気味悪さを感じた時、残りの仲間が到着し、彼らは峠に向かって出発した。

 そして、その走行途中に仲間が事故を起こした。
 それは東尾さんと一緒に、あの空き地で雑談をしていた仲間だった。
 彼はヘアピンカーブの手前で転倒し、大怪我を負った。

 後日、事故を超した仲間のすぐ後ろを走っていた人間が、東尾さんに漏らした。
「あいつが事故る前にさ、あいつの後ろに白いエプロン姿のおばちゃんが、横乗りで座ってたんだ」
 東尾さんは、カーブミラーで見たものの事は、誰にも話していない。
 憑いてきていたのだろうか。

(超-1 2008/「カーブミラーに」より)


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