【リライト】関ヶ原

2008年04月23日 23:14

(ああ、またいるな……)
 広瀬君の乗ったトラックの前方に、鎧武者の姿があった。
 その手には、血に染まった抜き身の刀を構えている。

 広瀬君は引越社に勤めている。
 長距離の仕事が入ると通るこの道。
 そこで時折、鎧武者の姿を見かけるのだ。

 それらが現れると、広瀬君は頭痛に襲われ、気分が悪くなってくる。
 その時も激しい頭痛が彼を悩ませた。
 すぐにでも引き返したいところだが、鎧武者が見えない同僚がハンドルを握り、かまわず突き進んでいく。
 そしてトラックが鎧武者の眼前まで迫った時、大きく刀を振りかざした。
(斬られる!)

 ぶわっと、彼の体を通り抜ける感覚が走る。
 鎧武者は刀を振り下ろしながら、トラックの中を通過していった。
 広瀬君の体には、怪我ひとつない。

 恐る恐るバックミラーを見ると、あの鎧武者は別の鎧武者と、鍔迫り合いの真っ最中だった。

(超-1 2008/「関ヶ原」より)


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