2008年04月26日 23:32
冬のある寒い夜、義明さんは一人で晩酌を楽しんでいた。
お酒が進んでほろ酔い気分だった彼は、ふと尿意を覚えた。
余りにもいい気分だったのだろうか、彼は素直にトイレに行こうとせず、縁側で用を済ませようとした。
窓を開け放った彼に、冷気が容赦なく押し寄せる。
高血圧、ほろ酔い、そして冷え切った外気。
悪い条件が見事に重なり、彼はズボンを下ろした格好のまま、意識を失った。
「あんた、こんな所で寝てたら風邪ひくで。はよ家ん中入り」
懐かしい声と、背中に触れる感触で、彼は意識を取り戻した。
それは他界したはずの妻の声だった。
まだ意識はもうろうとしていたが、染みついた習慣からか、彼はその声に素直に従った。
しかし、縁側から室内に戻ったところで、そのまま眠ってしまった。
「うわっ!」
翌朝、鏡に映った血まみれの顔に、義明さんは驚いた。
額がぱっくりと割れている。どうも昨晩意識を失い倒れた拍子に割れたらしい。
「うわっ!」
そこに娘の和美さんが現れ、父の惨状を見て叫び声を上げた。
義明さんは昨晩の出来事を思い出しながら、和美さんに話した。
聞き終わった和美さんは、眉間に皺を寄せながら言った。
「なんで寝んの? 普通すぐに病院行くやろ! あんたが一番怖いわ!」
娘の愛情ある叱責を受け、彼はすぐに病院に行った。
診断の結果、額を十針以上縫う羽目になった。
「でもそれ位で済んで良かったわ。もし倒れたまんまやったら凍死しとったやろな、確実に」
そう言うと、和美さんは微笑んだ。
(超-1 2008/「風邪ひくで」より)
お酒が進んでほろ酔い気分だった彼は、ふと尿意を覚えた。
余りにもいい気分だったのだろうか、彼は素直にトイレに行こうとせず、縁側で用を済ませようとした。
窓を開け放った彼に、冷気が容赦なく押し寄せる。
高血圧、ほろ酔い、そして冷え切った外気。
悪い条件が見事に重なり、彼はズボンを下ろした格好のまま、意識を失った。
「あんた、こんな所で寝てたら風邪ひくで。はよ家ん中入り」
懐かしい声と、背中に触れる感触で、彼は意識を取り戻した。
それは他界したはずの妻の声だった。
まだ意識はもうろうとしていたが、染みついた習慣からか、彼はその声に素直に従った。
しかし、縁側から室内に戻ったところで、そのまま眠ってしまった。
「うわっ!」
翌朝、鏡に映った血まみれの顔に、義明さんは驚いた。
額がぱっくりと割れている。どうも昨晩意識を失い倒れた拍子に割れたらしい。
「うわっ!」
そこに娘の和美さんが現れ、父の惨状を見て叫び声を上げた。
義明さんは昨晩の出来事を思い出しながら、和美さんに話した。
聞き終わった和美さんは、眉間に皺を寄せながら言った。
「なんで寝んの? 普通すぐに病院行くやろ! あんたが一番怖いわ!」
娘の愛情ある叱責を受け、彼はすぐに病院に行った。
診断の結果、額を十針以上縫う羽目になった。
「でもそれ位で済んで良かったわ。もし倒れたまんまやったら凍死しとったやろな、確実に」
そう言うと、和美さんは微笑んだ。
(超-1 2008/「風邪ひくで」より)






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