【リライト】飛んできたもの

2008年04月27日 23:31

 バイク好きの椎名さんは、今までに何度かバイクレースに出たことがある。
 彼女が参加していたのは、舗装された敷地内のコースを走るレースではなく、山肌剥き出しのコースでバイクの操縦技術とタイムを競うレースだ。

 その日も、いつものように何台ものバイクが赤土を蹴散らし、悪路を疾走していく。
 椎名さんもそれらに続き、急斜面を走っていた時、視界の右端に白いものが飛び込んできた。
 それは肩口から先の、細く生白い腕だった。
 その腕が、彼女の前方を走るバイクの後輪を掴んだ。
 瞬間、そのバイクが前のめりになり、激しく転倒し、ライダーはコースに投げ出されてしまった。
 救急車がライダーを乗せて走り去った頃には、もうあの腕はいなくなっていた。

 あのライダーの近辺を走行していた人々の中で、あの腕を見たのは椎名さんひとりだけだった。

(超-1 2008/「飛んできたもの」より)


コメント

  1. 山際 みさき | URL | -

    救急車がライダーを乗せて〜

    腕はいなくなっていた。

    のところはいらないのでは?
    まだいたら…怖いです〜!

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