【リライト】天体観測

2008年04月27日 23:34

 星空に誘われて、川島さんは夜の散歩に出掛ける。
 彼女はぶらぶらと、住宅街の細い道を、空を見上げながら歩く。
 街灯や家々の窓から漏れる灯りで、星々がかき消されることがあるが、まぁ仕方がない。

 五分ほど歩くと、周囲の様子が一変した。
 商店の看板から、枝のように手が伸びている。
 民家の壁からは、すね毛の生えた足が生えている。
 隣の民家の壁には、剥製のように老婆の首が掛かっている。
 アパートの外壁には、無数の手足がオブジェのように突き出している。
 それらは動くでもなく、ただそこにある。

 せっかくの散歩を台無しにされた川島さんは、まわれ右をして家路についた。

(超-1 2008/「いい天気」より改題)

※せんべい猫より
 この話の原題は「いい天気」という題でしたが、あちこちに見えるものに対する皮肉として用いられているこの台詞が、体験者と読者の温度差を大きくする要因となっていました。
 リライトにあたり、体験者のシニカルな部分は極力抑え、それに合わせて題名も散歩のきっかけとなった「天体観測」に改めさせて戴きました。
 改題についてご理解いただければと思います。


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