2008年04月29日 01:12
母がまだ二十二歳の頃、上京した友人達に遭う為に、名古屋から東京に出て行った。
しかし、事前に話をしておいたのにも関わらず、友人達は急用が出来たなどの様々な理由で来られなくなってしまった。
待ち合わせ場所の東京タワーには、彼女ひとり。
そんな中たったひとり、ある青年だけが彼女の元に駆けつけた。
彼女はその青年と一緒に、東京の名所を見て回った。
ふと、彼の腰に目をやると、ベルトに何かがぶら下がっている。
それは、星砂の入ったキーホルダーだった。
それを見た彼女は驚いた。
彼女は名古屋の大学病院に勤めていた。
その病院の入院患者の中に、白血病を煩う青年がいた。
彼女は沖縄に帰省した際、お土産として星砂の入ったキーホルダーを購入し、その青年にプレゼントした。
その青年はとても喜び、退院したらドライブに行こう、とよく言っていた。
しかし、それが叶うことはなかった。
彼は間もなく、息を引き取った。
その時のキーホルダーと、目の前の彼が付けているキーホルダーがそっくりだった。
偶然かも知れない。
しかし、彼女は何か予感めいたものを感じていた。
東京見物を終えると、彼女は名古屋に戻った。
彼は名古屋駅までわざわざ付いてくると、彼女を見送り、東京へ戻っていった。
その夜、彼女は足元にかかる重さに目を覚ました。
顔を上げると、カーテンを閉め忘れた窓から、月明かりが煌々と降り注いでいる。
その月光を背にするように、彼女の足元に人影が座っていた。
彼女が驚いて飛び起きると、その人影は消えた。
不思議と、怖さは感じなかった。
翌日になり、職場でその話をすると、看護助手のおばさんがこう言った。
「それはきっと、あなたを想っている人が来たんだよ。心配することはないよ」
それから間もなく、彼女は東京で出迎えたあの青年と結婚した。
父と母が東京タワーで初デートをしてから、もう三十四年にもなる。
(超-1 2008/「想い砂」より)
しかし、事前に話をしておいたのにも関わらず、友人達は急用が出来たなどの様々な理由で来られなくなってしまった。
待ち合わせ場所の東京タワーには、彼女ひとり。
そんな中たったひとり、ある青年だけが彼女の元に駆けつけた。
彼女はその青年と一緒に、東京の名所を見て回った。
ふと、彼の腰に目をやると、ベルトに何かがぶら下がっている。
それは、星砂の入ったキーホルダーだった。
それを見た彼女は驚いた。
彼女は名古屋の大学病院に勤めていた。
その病院の入院患者の中に、白血病を煩う青年がいた。
彼女は沖縄に帰省した際、お土産として星砂の入ったキーホルダーを購入し、その青年にプレゼントした。
その青年はとても喜び、退院したらドライブに行こう、とよく言っていた。
しかし、それが叶うことはなかった。
彼は間もなく、息を引き取った。
その時のキーホルダーと、目の前の彼が付けているキーホルダーがそっくりだった。
偶然かも知れない。
しかし、彼女は何か予感めいたものを感じていた。
東京見物を終えると、彼女は名古屋に戻った。
彼は名古屋駅までわざわざ付いてくると、彼女を見送り、東京へ戻っていった。
その夜、彼女は足元にかかる重さに目を覚ました。
顔を上げると、カーテンを閉め忘れた窓から、月明かりが煌々と降り注いでいる。
その月光を背にするように、彼女の足元に人影が座っていた。
彼女が驚いて飛び起きると、その人影は消えた。
不思議と、怖さは感じなかった。
翌日になり、職場でその話をすると、看護助手のおばさんがこう言った。
「それはきっと、あなたを想っている人が来たんだよ。心配することはないよ」
それから間もなく、彼女は東京で出迎えたあの青年と結婚した。
父と母が東京タワーで初デートをしてから、もう三十四年にもなる。
(超-1 2008/「想い砂」より)




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