【リライト】護り人

2008年04月29日 19:06

 私の両親は結婚を機に、高級住宅地にあるマンションの二階に引っ越した。
 そこには両親とともに、父の弟、母の弟が同居しいていた。
 間もなく母の妊娠が発覚すると、男連中はとても喜んでくれた。
 しかし、あまりにもつわりが酷く、彼女は大変な思いをした。
 彼女を心配する男連中が代わりに料理を作ってくれるのだが、それもなかなか喉を通らない。
 すっかり体重も落ち、彼女は横になっている時間が多くなっていた。

 その日も酷いつわりの為、彼女は布団に横になっていた。
 時刻が午後二時をまわった頃、彼女の部屋の襖がすーっと開いた。
 そしてその向こうから、見知らぬ女性が彼女の部屋に入ってきた。
 綺麗な着物を着た、穏やかな雰囲気の女性だった。
「大丈夫よ」
 その女性は優しい声で、彼女に言った。
 そして、その姿が消えた。

 それから間もなく、母は無事、私を出産した。
 男連中は大はしゃぎ、田舎から母の様子見に出てきていた祖母も大喜びだった。
 その場で母は、あの日の不思議な話を彼らに語った。
 すると、祖母がしきりに頷きながら、こんな話を始めた。

 今は亡き祖父は漁師だった。
 ある日、彼は沖合まで船を出し、鰹を追っていた。
 その日は波が荒く、気を緩めると船ごと持って行かれてしまいそうになる。
 にも関わらず、連日の漁の疲れが溜まり、緊張の糸が切れたのか、彼は睡魔に負けてしまった。
「起きて! 起きて!」
 呼ぶ声に彼は目を覚ました。
 彼の目の前には、綺麗な着物を着た見知らぬ女性が立っていた。
 船は大きく傾き、舵が取られそうになっている。
 慌てて体制を立て直し、難局を乗り切った時には、あの女性の姿は消えていた。

「もしかしたら、あの子かも知れん」
 祖母はしみじみと呟いた。
 母には妹がいた。
 しかし、生後二ヶ月ほどでこの世を去っている。
 その子が今でも、彼ら家族を見守っているのではないだろうか、そう祖母は話していた。

(超-1 2008/「妹の話」より改題)

※せんべい猫より
 この話の原題は「妹の話」という題でしたが、二つの話に現れる女性=妹という事を話の核にするのであれば、題名はネタバレとなります。
 リライトにあたり、二つの話が繋がるように再構成し、題名もその存在を象徴する「護り人」と改めました。
 改題については上記の通りご理解いただければと思います。
 構成については、追記にて触れます。
 正直、この再構成には無理があると思いますが、体験者の感じたこと(=どちらの女性も妹だと思われると言うこと)を読む側にすんなり伝える方法として、私はこれが最良だと判断しました。
 その繋がりについて事実と違う可能性は大いにあります。
 賛否両論があるかと思いますが、あえて公開に踏み切らせていただきます。
 ご意見をお聞かせいただけると助かります。


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://senbeineko.blog45.fc2.com/tb.php/278-23ec31ae
    この記事へのトラックバック


    最新のエントリー