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2008-04-30 Wed 01:53
文子さんが小学六年生の頃。
学校から帰ってくると、自分の部屋に見知らぬ少女が立っていた。 白装束を来た、長い黒髪の少女だった。 年齢は十七歳くらいだろうか。 肌は透き通るように白く、表情は愁いを帯びている。 その姿は、女性の文子さんが思わず見とれてしまうほど美しかった。 無表情なその顔は精巧な人形のようで、その美しさを際だたせていた。 彼女は部屋の真ん中で、何をするでもなく立っている。 戻ってきた文子さんにも、何の関心も示さない。 呆然としていると、やがて彼女は部屋を出て行った。 その翌日、彼女は居間に立っていた。 春の柔らかい日差しに照らされた黒髪が、艶やかに光る。 ほどなく、彼女は何処かへ行ってしまった。 文子さんは彼女に、「美波」という名を付けた。 その名前に深い意味はなく、その名で声をかける事もなかった。 お風呂から上がると、脱衣所に彼女がいる。 夜更かしをしているその傍らに、彼女が佇んでいる。 家から帰ると、彼女が玄関先に立っている。 それは、文子さんにとっての日常になっていた。 それから月日が経ち、文子さんは高校生になっていた。 授業が終わり家に帰ると、美波がいつものように部屋にいる。 その姿が、少し薄くなっている。 日を追うごとに、彼女の姿は薄くなっていった。 その事に気付いていないのか、彼女はこれまでと変わらず、無表情なままだった。 そしていつしか、彼女の姿を見ることはなくなった。 文子さんが高校を卒業して、間もなくの頃だった。 (超-1 2008/「少女時代」より) |
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