【リライト】暴挙

2008年04月30日 21:32

 小学五年の夏休み、三原君は両親とともに、田舎に住む親戚の家に泊まりがけで遊びに行った。

 親戚の家はとても広く、風通しが良くて居心地が良い。
 法事などで親戚が集まる仏間は特に広く作られていて、お盆に差し掛かったこともあり、仏壇にはたくさんのお供物が供えられ、その周囲は盆飾りがなされている。
 夕食前のひととき、三原君は久しぶりに再会した従兄と二人、仏間でプロレスごっこをはじめた。
 久しぶりのプロレスごっこに熱が入る。
 従兄が三原君を担ぎ上げて振り回した時、三原君の足が盆提灯にあたり、派手な音を立てて倒れた。
 その音に驚いてすっ飛んできたお婆さんに、二人は怒鳴られた。
「そんなことしたら、死んだ爺ちゃんが怒って出てくんで!」

 その夜、三原君はふと目を覚ました。
 彼の横には、両親がすやすやと寝息を立てている。
 寝直そうと思った時、廊下から光が差した。
 襖が大きく開き、廊下の様子が見渡せる。
 その光は徐々に広がっていき、そこに白い着物を着た男性の姿が現れた。
 その顔は光りにぼやけて見えなかった
(おじいちゃんだ)
 昼間のこともあって、彼はそう思った。
 お婆ちゃんの言葉が脳裏に蘇る。
 怖くなった彼は布団を被り、ごめんなさい、許してください、と心の中で何度も呟いた。
 しかし、畳をする足音が彼に向かって近づいてくる。
 彼はそれでもひたすら謝った。
 次の瞬間、彼の布団の上にそれが覆い被さった。
 そして、彼の左肩を激痛が襲った。

 気がつくと朝になっていた。
 夢だったのだろうか。
 三原君は身体を起こそうとした。
 途端に、左肩に痛みが走った。
 服をまくると、そこにはくっきりと人の歯形が残っていた。

(超-1 2008/「暴挙」より)


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://senbeineko.blog45.fc2.com/tb.php/297-ec2cfab9
    この記事へのトラックバック


    最新のエントリー