【リライト】あの感じ

2008年04月04日 01:32

 日も落ちた真っ暗な国道沿いの道。
 学校から家まで一時間強の距離、自転車を飛ばす。
 その途中、ちらっと、道ばたに添えられた花束を見かけた。
 ……見なかった事にしよう。
 スピードを上げた。

 がくん。

 ペダルが急に重くなった。
 ギアを一速から五速に切り替えたような。
 いや、ちょっと違うな。どっかで味わったな、この感覚。
 そうだよ! クラスのヤツがふざけて自転車の荷台に乗ってきた時の、あの感じだよ!
 ちょっと待て。ということは、だ。

 振り返った。
 やっぱり誰もいない。

 自転車を止めた。
 このまま帰れば連れて帰っちゃうかも。
 戻ればもっと嫌な事があるかも。
 どうする? どうする俺?

 戻った方がいいよな。
 仕方なく戻ると、花束のそばに、コップが倒れているのを見つけた。
 中の飲み物は全部こぼれてしまっている。
 コップをちゃんと立てて、カバンの中にあったペットボトルからお茶を注いだ。
 飲み残しておいて良かった。マジで。

 手を合わせてその場をあとにし、自転車に乗った。
 今度はペダルが軽い。
 もう大丈夫だよな。
 俺、良い事したよな。
 だから頼む。頼むから。
 ついて来ないで。

(超-1 2008/「霊の重さは…」より改題)

※せんべい猫より
 このお話の原題は「霊の重さは…」という題名でしたが、本編と題名があまり噛み合っていないと感じました。
 また、投稿者が重さの比喩に用いた、友人とのじゃれ合いの表現がとてもわかりやすく、読者にも身近なものと思われた為、それをより補強する形として「あの感じ」と題名を改めさせていただきました。
 改題について、ご理解いただければ幸いです。


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