2008年04月07日 01:45
寺川さんの背後で、紙が擦れるような音がした。
時計は午前零時を回っている。
オフィス内には彼ひとり。
誰かに見られているような気がして仕方がない。
視界の外で、人が動く気配がする。
小さな息づかい、かすかな靴音、椅子を動かすような音。
振り返っても、誰もいない。
彼は気分転換に、オフィスを出た。
社員通用口にあるフロアパネルを見ると、彼の会社名のパネル以外は、ランプが消えていた。
常駐の警備員はいない。
つまり、このビルにいるのは、彼ひとりだけ。
コンビニで小一時間立ち読みをし、買い物を済ませてビル内に入る。
明かりの落ちたオフィスのドアの前で、彼はその足を止めた。
オフィス内から、濃密な気配を感じる。
まるで、昼間の業務中のように。
せわしなく歩き回る音、キーボードをタイプする音、ばらばらと書類をめくる音……。
寺川さんは思いきってドアを開けた。
音がやんだ。
だが、気配は強く残っている。
その時、彼はある事に気づいた。
オフィスの天井には、一定間隔をあけて複数の、半円形の防犯センサーが設置されている。
そのセンサーは動くものを捕捉し、セキュリティモード時は警備会社へ通報が入るようになっている。
セキュリティモードになっていない時は、通報は行わないものの、捕捉動作は行われる。
その際に、赤色のLED(発光ダイオード)が点滅する。
彼の目の前で、オフィス中のセンサーのLEDが、激しく点滅していた。
それは、昼間の業務中の動きそのままだった。
センサーが、見えない大勢の何かを捕捉している。
たまらず寺川さんはコンビニへ逆戻りした。
店員の白い目を尻目に、そこで夜が明けるまで時間をつぶした。
朝になり、恐る恐る戻ると、あの気配が嘘のように消えていた。
後日彼が同僚にその話をすると、その同僚もまったく同じ体験をしていた。
(超-1 2008/「捕捉」より)
時計は午前零時を回っている。
オフィス内には彼ひとり。
誰かに見られているような気がして仕方がない。
視界の外で、人が動く気配がする。
小さな息づかい、かすかな靴音、椅子を動かすような音。
振り返っても、誰もいない。
彼は気分転換に、オフィスを出た。
社員通用口にあるフロアパネルを見ると、彼の会社名のパネル以外は、ランプが消えていた。
常駐の警備員はいない。
つまり、このビルにいるのは、彼ひとりだけ。
コンビニで小一時間立ち読みをし、買い物を済ませてビル内に入る。
明かりの落ちたオフィスのドアの前で、彼はその足を止めた。
オフィス内から、濃密な気配を感じる。
まるで、昼間の業務中のように。
せわしなく歩き回る音、キーボードをタイプする音、ばらばらと書類をめくる音……。
寺川さんは思いきってドアを開けた。
音がやんだ。
だが、気配は強く残っている。
その時、彼はある事に気づいた。
オフィスの天井には、一定間隔をあけて複数の、半円形の防犯センサーが設置されている。
そのセンサーは動くものを捕捉し、セキュリティモード時は警備会社へ通報が入るようになっている。
セキュリティモードになっていない時は、通報は行わないものの、捕捉動作は行われる。
その際に、赤色のLED(発光ダイオード)が点滅する。
彼の目の前で、オフィス中のセンサーのLEDが、激しく点滅していた。
それは、昼間の業務中の動きそのままだった。
センサーが、見えない大勢の何かを捕捉している。
たまらず寺川さんはコンビニへ逆戻りした。
店員の白い目を尻目に、そこで夜が明けるまで時間をつぶした。
朝になり、恐る恐る戻ると、あの気配が嘘のように消えていた。
後日彼が同僚にその話をすると、その同僚もまったく同じ体験をしていた。
(超-1 2008/「捕捉」より)






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