【リライト】子犬

2008年04月11日 00:53

 正也さんが昼寝をしていると、最近飼い始めた子犬が彼に寄り添い、その傍らで眠りだした。
 少しして、彼の顔に息がかかった。
 ひどく血生臭い。
 息の主は耳元で、低いうなり声を上げている。
 それは大きな獣のように感じた。
 その獣は禍々しい殺気を放っていた。
 慌てて彼が飛び起きると、そこには何もいなかった。
 震えが止まらない彼をよそに、子犬は幸せそうにすやすやと眠り続けていた。

 正也さんに懐いていた子犬だったが、成長して行くにつれて、徐々に変化が現れた。
 彼に懐かないだけではなく、だんだんと凶暴になり、彼に攻撃を仕掛けるようになった。
 生傷の絶えない日々が続き、彼は犬に怯えて暮らしていた。

 そんなある日、突然、犬が死んだ。
 原因はわからなかった。

 その夜、正也さんの夢に、亡くなった祖母が現れた。
 祖母の手には荒縄が握られている。
 その荒縄の先に、雁字搦めに縛られたあの犬がいた。
 祖母は正也さんに背を向け、縛った犬を引きずりながら彼方へ消えていった。

(超-1 2008/「子犬」より)


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