2008年04月11日 01:04
ある夜、昭恵さんが布団に入ってうつらうつらしていると、体が動かなくなった。
その頃の彼女は、金縛りに良く遭っていた為、すっかり慣れてしまっていた。
放っておいても感覚がなくなるだけで実害がなく、いつもそのまま寝入っていた。
その夜もそうしようと思ったが、いつもと違い、彼女を見つめる視線に気づいた。
見ると、彼女の左側に、三人の武士が座っている。
彼女の頭の横、腰の横、そして足の横にひとりずつ、三十代から四十代と思しき武士達。
豆電球の明かりの下、彼らが背筋を伸ばし、きちんと正座して、それぞれ彼女の頭・腰・足を柔和な表情で見つめている。
彼らはいずれも綺麗な仕立ての袴を着ており、髷もきちんと整えられていた。
その脇には、腰から抜いた大小が並べておいてある。
徳川太平の世の武士かな。
なんとなく昭恵さんはそう思った。
しかし、立派な武士とはいえ、そのままでは眠れない。
怖い、というより恐れ多い。
どうしたら消えてもらえるだろう。
電気を点けたら、消えてもらえるかもしれない。
思ったものの実行出来ない。彼らの前で立ち上がるのが憚られた。
第一、今は金縛りで動けない。
どうしよう。
思案した結果、彼女は武士達にお伺いを立てることにした。
「あの……本日はこのような、むさ苦しいところにおいで頂いて、誠にありがとうございます。
せっかくお越し頂いたのですが、部屋がこの通り暗いままですと、失礼かと存じ上げます。
もう少し明るくさせて頂こうと思うのですが、いかがでございましょうか?」
彼女がたどたどしく口上を言い終えるやいなや、彼女の体が布団ごと浮き上がった。
電灯のコードが、すぐ手の届く位置にある。
コードに手を伸ばすと、手は難なく動き、コードを掴んだ。
彼女は思いきってコードを引いた。
軽い明滅の後、部屋が明るくなった。
気づくと、彼女の体は布団とともに床の上に戻っていた。
恐る恐る左側を見ると、武士の姿も消えていた。
(超-1 2008/「三人の侍」より)
その頃の彼女は、金縛りに良く遭っていた為、すっかり慣れてしまっていた。
放っておいても感覚がなくなるだけで実害がなく、いつもそのまま寝入っていた。
その夜もそうしようと思ったが、いつもと違い、彼女を見つめる視線に気づいた。
見ると、彼女の左側に、三人の武士が座っている。
彼女の頭の横、腰の横、そして足の横にひとりずつ、三十代から四十代と思しき武士達。
豆電球の明かりの下、彼らが背筋を伸ばし、きちんと正座して、それぞれ彼女の頭・腰・足を柔和な表情で見つめている。
彼らはいずれも綺麗な仕立ての袴を着ており、髷もきちんと整えられていた。
その脇には、腰から抜いた大小が並べておいてある。
徳川太平の世の武士かな。
なんとなく昭恵さんはそう思った。
しかし、立派な武士とはいえ、そのままでは眠れない。
怖い、というより恐れ多い。
どうしたら消えてもらえるだろう。
電気を点けたら、消えてもらえるかもしれない。
思ったものの実行出来ない。彼らの前で立ち上がるのが憚られた。
第一、今は金縛りで動けない。
どうしよう。
思案した結果、彼女は武士達にお伺いを立てることにした。
「あの……本日はこのような、むさ苦しいところにおいで頂いて、誠にありがとうございます。
せっかくお越し頂いたのですが、部屋がこの通り暗いままですと、失礼かと存じ上げます。
もう少し明るくさせて頂こうと思うのですが、いかがでございましょうか?」
彼女がたどたどしく口上を言い終えるやいなや、彼女の体が布団ごと浮き上がった。
電灯のコードが、すぐ手の届く位置にある。
コードに手を伸ばすと、手は難なく動き、コードを掴んだ。
彼女は思いきってコードを引いた。
軽い明滅の後、部屋が明るくなった。
気づくと、彼女の体は布団とともに床の上に戻っていた。
恐る恐る左側を見ると、武士の姿も消えていた。
(超-1 2008/「三人の侍」より)




コメント
コメントの投稿