2008年04月11日 23:25
有香さんが同僚達と昼食を摂っていると、その輪のすぐそばに、一人のお婆さんが立っている事に気づいた。
品の良さそうなお婆さんは、何を言うでもなくそこに立っている。
昼食が終わると、いつの間にかその姿を消していた。
それからも時々、そのお婆さんを見かける事があった。
ある時、有香さんはある法則に気づいた。
そのお婆さんが現れるのは、決まって昼食の時だけ。
そして、お婆さんはいつも同じ女子社員の後ろに立っている。
彼女と有香さんは部署が違い、昼時にたまたま話の輪に加わる事があるだけで、特別に親しいわけではない。
気づいたものの、その事を彼女に告げる事が憚られ、あまり気にしないようにした。
ある日、いつものように昼食の輪が出来ると、そこに彼女とあのお婆さんの姿があった。
だが、お婆さんの様子がいつもと何か違う。
よく見ていると、お婆さんは彼女を強い眼差しで見つめ、
”私が守っているから! 絶対大丈夫だから! 私が必ず守っているから”
と大きな声で彼女に向かって何度も訴えかけた。
お婆さんの必死な姿に有香さんは悩み、そして彼女に打ち明ける事に決めた。
有香さんの話を聞いた彼女は驚いていた。
「きっとその人は、私のお祖母ちゃんだわ。生前、とっても可愛がってくれたの」
嬉しそうにそう言ったが、その表情が曇った。
彼女は現在妊娠しているのだが、過去に流産の経験がある為、出産に不安を感じていると告白した。
しかし、有香さんから聞いた祖母の様子に、彼女の表情からみるみる不安の色が消えていくのが見て取れた。
彼女は有香さんにお礼を言うと、笑顔で職場へ戻っていった。
次の日から、昼食の席に彼女の姿はなかった。
急に体調を持ち崩したのだという。
そしてそのまま、彼女は会社を辞めてしまった。
(超-1 2008/「伝えたかった事」より)
品の良さそうなお婆さんは、何を言うでもなくそこに立っている。
昼食が終わると、いつの間にかその姿を消していた。
それからも時々、そのお婆さんを見かける事があった。
ある時、有香さんはある法則に気づいた。
そのお婆さんが現れるのは、決まって昼食の時だけ。
そして、お婆さんはいつも同じ女子社員の後ろに立っている。
彼女と有香さんは部署が違い、昼時にたまたま話の輪に加わる事があるだけで、特別に親しいわけではない。
気づいたものの、その事を彼女に告げる事が憚られ、あまり気にしないようにした。
ある日、いつものように昼食の輪が出来ると、そこに彼女とあのお婆さんの姿があった。
だが、お婆さんの様子がいつもと何か違う。
よく見ていると、お婆さんは彼女を強い眼差しで見つめ、
”私が守っているから! 絶対大丈夫だから! 私が必ず守っているから”
と大きな声で彼女に向かって何度も訴えかけた。
お婆さんの必死な姿に有香さんは悩み、そして彼女に打ち明ける事に決めた。
有香さんの話を聞いた彼女は驚いていた。
「きっとその人は、私のお祖母ちゃんだわ。生前、とっても可愛がってくれたの」
嬉しそうにそう言ったが、その表情が曇った。
彼女は現在妊娠しているのだが、過去に流産の経験がある為、出産に不安を感じていると告白した。
しかし、有香さんから聞いた祖母の様子に、彼女の表情からみるみる不安の色が消えていくのが見て取れた。
彼女は有香さんにお礼を言うと、笑顔で職場へ戻っていった。
次の日から、昼食の席に彼女の姿はなかった。
急に体調を持ち崩したのだという。
そしてそのまま、彼女は会社を辞めてしまった。
(超-1 2008/「伝えたかった事」より)




コメント
コメントの投稿